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人間の持つ強さやしなやかさの本質を解明し、心身の健康の維持や疾病予防につなげようと、精神科医師らが中心となって設立した「日本ポジティブサイコロジー医学会」の発足記者会見が18日、東京都内で開かれた。理事長に就任した大野裕氏(国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター長)は、「心の健康は、体の健康にもつながる。いろいろな学会と連携をしながら活動していきたい」と抱負を述べた。

 大野理事長は、「今の日本の状況を見ると、すべての国民が心を病む可能性がある」と指摘。英国における精神疾患の年間コストが、2026年には07年からほぼ倍増し、14.2兆円に達するとの試算を挙げ、将来的には入院中心の精神医療から、幅広い精神保健に支えられた良質な専門医療への転換が必要と訴えた。

 また、坪田一男理事(慶大教授、SFC研究所ヘルスサイエンスラボ代表)は、米国で研究が進んでいるポジティブサイコロジーを紹介。「幸せだから健康になる」との研究データが出てきていることを踏まえ、「最近になって少しずつ幸福を、科学的な手法を使って評価する流れができている」として、今後、日本での研究が進展する可能性を示唆した。

 福島第1原子力発電所の事故後も福島県郡山市内で医療活動を続ける佐久間啓理事(あさかホスピタル院長)は、被災者の中には、放射能被害などによる急性のストレスと、状況が改善されないための慢性のストレスによって、「本当にこの困難を乗り越え、前向きに生きられるのか」との疑念を持つ人がいると指摘。「よりポジティブに、より幸せを感じて生きるために、どう考え、どう行動すべきかを、心のエキスパートの考えを聞き、これからの福島県について考える機会が持てれば」と述べた。

 このほか、臨床心理学に詳しい小玉正博理事(筑波大大学院教授)は、「病んでいる者を治すのとは別に、その人が持っている潜在的な力をいかにわれわれが一緒に見つけて、伸ばし、サポートしていくかが大事」と活動の意義を強調。また、三村將理事(慶大医学部教授)は、「心理学の領域と精神医学の領域をつないで、学会を盛り立てていきたい」と抱負を述べた。【新井哉】


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