2012年11月09日 メンタルヘルス
震災後のDV増加を懸念
東日本大震災後、沿岸被災地や避難先で、配偶者や恋人からの暴力(DV)の増加が懸念されている。関係機関や県警にも相談が寄せられており、仮設住宅での暮らしや地元を離れての生活、経済的なストレスなど、住宅事情や生活環境の変化が影響しているとみられる。関係者は「深刻化する前に、相談してほしい」と呼びかけている。
県警は今年9月、沿岸部に住む50歳代の男を傷害容疑で逮捕した。震災で被災し、借家に住んでいたが、妻に対する暴力が増え、妻は家族の住む内陸部に移り住んだ。しかし、夫は妻の元を訪れ、頭などを殴って転倒させ、けがを負わせたという。妻は警察署に相談し、保護された。
内閣府が今年2~3月、岩手、宮城、福島の被災3県で実施した電話相談「女性の悩み・暴力相談」を分析したところ、1465件の相談内容(重複あり)のうち、DVに関するものが156件あった。
また、1465件のうち、「震災と関係ある」「震災後に表面化・悪化」と回答したのはほぼ半数の735件あり、「震災に関係ない」は約2割の297件だった。
県青少年・男女共同参画課によると、2011年度に、同課が所管する機関の相談窓口に寄せられたDVに関する相談件数は1763件で、前年度より349件増えた。09年度に1000件を超え、増加傾向が続いている。
気仙地域を担当する沿岸広域振興局大船渡保健福祉環境センターによると、以前から夫が暴力を振るう懸念のあった世帯について、狭い仮設住宅で夫妻が顔を合わせる機会が増えたことなどからDVに至ったケースがあったという。